『ストロボライト』アラサーともなるともう大学生時代の記憶なんてあやふやだよ

作者:青山景
出版社:太田出版
発売日: 2013-10-16

君が好きになったのは、――本当に＜私＞？

表紙の女の子が可愛いね、と思って手にとってグングンと引きずり込まれるように読んだ。僕は子供の頃、他人が自分と同じように「心をもって考えている」ことが信じられなくて、「きっとこいつらは、僕が死んで、そのあと生まれ変わって同時並行的にいる存在なんだ。つまり、世界は全部僕しかいないんだ。そうだそうだ」と思っていた。輪廻転生をすごく拡大解釈したような感じで、世界には自分しかいないんだと思い込もうとしていたのだ。

大学生くらいになって、子供の頃考えていた世迷い言めいたこの考えが、どうやら「遍在転生観」と名前がついてどっかの哲学の先生も考えてたと知ったわけだ。そのとき、「ああ、なるほど、哲学ってのは子供の頃の疑問をそのまま引きずって考え詰めるってことなんだな」と気づいてしまったわけ。そんな感じに、＜私＞についてグダグダ考えたことある内向的で面倒くさい野郎にオススメの一冊だ！メタい！！

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