『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』し俺も「志乃ちゃん」って言えない

作者:押見修造
出版社:太田出版
発売日: 2013-11-19

"普通になれなくてごめんなさい"

ヒリヒリ青春漫画のマエストロが贈る、もどかしくて、でもそれだけじゃない、疾走焦燥ガールズ・ストーリー。

"自分の名前が言えない"大島志乃。そんな彼女にも、高校に入って初めての友達が出来た。ぎこちなさ100%コミュニケーションが始まるーー。いつも後から遅れて浮かぶ、ぴったりな言葉。さて、青春は不器用なヤツにも光り輝く……のか?

わかる、わかるぞぉ……！と一部のひとはすごく共感する、吃音症の女の子を題材としたマンガ。吃音症とまではいかないものの、筆者は滑舌がよくなく「し」「ち」の発音がだいぶ苦手である。中学校の論文のテーマを一瞬気の迷いで「地球温暖化現象」にしようと思ったけど、「地球」って人前で発音できないことに気がつき、困りに困って「孤独と友情」みたいなどうしてこうなった的な中二病全開なテーマに変えて弁論大会に出てしまった、というほろ苦い経験もある。

30年まえに社会人だったら電話や対面のコミュニケーションがメインで、俺は本当に人生が詰んでいたのではなかろうかと不安になってしまうけれど、今はテキストコミュニケーションが盛んな時代でよかったよ、ビバインターネット。

前述のとおり、俺は「し」が言いづらいので「志乃ちゃん」って言えないのだ。それでも、生きていかざるを得ない。

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